損益計算書(P/L)の見方について勉強していきます。
企業がどのくらい稼いでいるか?を確認できる表ですね
P/Lが読めるようになると、、
✅企業の成長戦略が見えてくる、かも
✅PERの割高・割安をより正確に判断できる
✅目先の利益・株価が下がっていても狼狽売りしない(長期でしっかりホールドできる)
等々の恩恵があると思います。
損益計算書(P/L)の基礎
企業の損益計算はざっくり表すと、
利益 = 収益 ー 費用

この内訳を細かく表したものが損益計算書(P/L = Profit & Loss Statement)となります。
ではまずこの「収益」「費用」「利益」をひとつひとつ分解していきましょう
収益
「収益」は「売上高」「営業外収益」「特別利益」の3つの要素から構成されます。

売上高・・・本業での売上収益
営業外収益・・・本業外での継続性のある収益(配当金等)
特別利益・・・本業外での一時的な収益(事業・店舗・設備売却による収益等)
”本業”とは、定款の「主たる目的」の欄に記載されている事業のことです
例えば、ドーナツ屋さんを経営していたとして、
今期はケーキ屋さんの株を取得して、更に売上成績が良くなかった店舗を1つ売却しました。
この時の収益は↓の様な感じになります。

なぜドーナツ屋さんなのかというと、
今無性にドーナツが食べたかったからです
費用
「費用」は収益よりもやや複雑で、基本的には「売上原価」「販管費」「営業外費用」「特別損失」「税金」に分類されます。

売上原価・・・1つの商品を製造するのに必要な費用(材料費等)×期中に売れた個数
販管費・・・商品を販売する際にかかる費用、管理費(広告宣伝費・家賃など)
営業外費用・・・本業以外で発生する費用(支払利息、有価証券評価損・売却損等)
特別損失・・・本業外での一時的な費用(災害が発生した際の修復費用等)
税金・・・法人税
先ほどのドーナツ屋さんの例で、
仮にケーキ屋さんの株価が下がり、更に1つの店舗で火災が発生して修復費用が発生したとすると、かかった費用は、

収益の時よりもちょっと複雑、、、
特に「売上原価」と「販管費」は分類がむずかしい項目も出てきますが、基本的には、
「商品を生産・販売量に比例して増える費用」=「売上原価」
「商品の生産・販売量に比例しない費用」=「販管費」
となります。
その為、人件費についても、ドーナツ屋さんのケースだと、
「各店舗のスタッフの時給」=「売上原価」
「本社スタッフの給与」=「販管費」
といったように分かれます。
利益
「利益」は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」と色々種類がありますが、基本的にはこれまでに説明した「収益」と「費用」の引き算になります。
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
営業利益 = 売上総利益 - 販管費
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
当期純利益 = 税引前当期純利益 - 税金

ごちゃごちゃしてますが、売上総利益からの足し算・引き算で順番に 覚えておくと楽です
損益計算書(P/L)のどこを見ておくべき?
P/Lの概要はなんとなく掴めたと思います。
では、投資判断をするにあたって、どうP/Lを見ていけばよいのでしょうか?
どこに注目すべきかは、その企業の方針・戦略によっても変わってきますが、一例として銘柄分析の記事でも紹介している「スタメン(証券コード:4019)」の2021/12期本決算時のP/Lを見てみましょう。
P/Lを確認する前に、軽くこの企業の概要を整理しておくと、
- 設立:2016年1月、上場2020年12月と若くて成長途上
- 期毎の売上高成長率が50%前後ある急成長企業
- Saasによるストック収益を主体とした情報・通信業
- 2020年12月期に黒字化
- 2025年に年間売上高30億円を目指している(2021年時点での売上高は9億円)
この前提でP/Lを覗いてみましょう。

概要でも述べた通り、現状は利益よりも売上高の伸びを意識している会社です。なので、やはり最初は売上高から確認していきます。
売上高は前期比で見ると、620,719千円 ➡ 913,801千円と+47.2%成長しています。
会社目標である「2025年に売上高30億円」を達成するのに必要な成長率が年あたり+37%くらいなので、順調に伸びたと判断できます。
ストック収益型のビジネスモデルなので、売上高は比較的安定して伸ばしやすいです
次に売上原価ですが、今回はSaas系事業なので、原価率は元々低めです(製造コスト等がかからない)。原価率が極端に増減していなければ特に気にしなくても良いと思います。
原価率が低いのもSaasビジネスの特徴ですね
逆にSaas系で原価率が高い場合は、原価の内訳を精査した方が良いかも?
そして、売上高をバリバリ伸ばそうとしている企業のP/Lで、一番気になるのが販管費の中にある「広告宣伝費」です。広告宣伝は未来の売上高UPに直結する為、ここにしっかりお金を投入できているか?はチェックしておきたいですね。さて、スタメンの広告宣伝費を見てみると、168,577千円、前期が94,584千円だったので、そこから更に+78.2%増額して投入していることがわかります。
まだ知名度がそれほど高くない企業にとって広告宣伝はかなり効果的
また、仮に今期の広告宣伝費を前期相当に抑えていたとすると、営業利益は107,619千円、つまり「現状の売上高で少なくとも今の3倍の利益を叩き出せるほどのポテンシャルを持っている」ということも言えます。
企業によってはP/L内で販管費の内訳を記載していない場合もあります。
その場合はIR窓口に問い合わせることで教えてもらえることがあります。
ここまで見たらこの企業におけるP/Lの大事な部分はほぼ読み切ったも同然です。あとはサラっと流し見しましょう。
「営業外収益・営業外費用はほぼほぼ影響ないレベルだな」
「特別利益・特別損失は特に乗っかってないな」
「当期純利益はちゃんと黒字で着地してるな」
以上で終了です。
事前に見るべきポイントを絞っておけば楽ですね
※見るべきポイントは企業毎に変わってきます
損益計算書(P/L)まとめ
P/Lとは、企業の稼ぐ力を表すものです。
「今の売上高で最大限利益を取ろうとしたらどこまで利益を伸ばせるの?」等の情報も読み取れたりするので、PERの割高・割安の判断する際は当期純利益の値だけでなく、P/Lの内容までしっかり見るのが良いと思います。
たくさん項目はありますが、企業の特徴をおさえた上で見るべきポイントに絞って見ればとりあえずOKです。
決算シーズンとかに全部見てたら大変
それでは、今回は以上です。
↓ブログランキング密かに参加中、以下バナーポチっていただけると大変感謝


株式投資のお勉強部屋はこちら↓
ありがとうございました
コメント